プロジェクトの無駄をなくすスケジュール管理の考え方

プロジェクトを失敗させないためにも、進行管理は非常に重要となります。スケジュール管理を中心に、"プロジェクトとはなにか"を考え、ディレクターとして社内外でどのように立ち振る舞うべきかを学びます。今後ディレクター職に転向を考えている方、web関連業務に従事したことがありwebプロジェクトの進行管理について理解を深めたい方におすすめの講座です。

大崎誠のWebディレクション講座」では、プロジェクトの実行から監視・コントロール、終結までの進行を考える領域を扱います。プロジェクトの立ち上げ、計画をするまでに関しては「和田正弘のWebプランニング講座」の受講をおすすめします。

スケジュール管理

"既知"と"未知"、2つの"知"を明確にする

今現在わかっていることや事実を知る"既知"では、具体的な実行計画を立てられます。一方、今はわからないこと(何がわからないのか?"既知"になるための条件は何か?)を知る"未知"では、リスクや前提を計画に盛り込むために動きます。

プロジェクトが段取り通りに進むことは稀です。必ずしもスケジュール通りに進行しなくてはいけないと思わず、スケジュールはあくまでたたき台として考え、進行の変化をシュミレーションするツールとして捉えましょう。進行が滞ってきた、雲行きが怪しくなってきたなど状況の変化にいかに早く気付けるかが重要です。
自分の現状である既知、未知を理解していれば、状況の変化に素早く気付ける確率はぐんとあがります。

進行のために知っておくこと

スケジュール管理とは、WBSとスケジュールを合わせて管理することの名称です。WBSは「Work Breakdown Structure」の略で「プロジェクトを細かな作業(Work)に分解(Breakdown)した構成図(Structure)」のことです。簡単に表すと、「やること・やらないこと」のタスクを書き出すもので、WBSはスケジュール管理でのタスクの洗い出しを行うスコープマネジメントを扱い、スケジュールはWBSを「いつから・いつまで」実行する期間を決めるタイムマネジメントのことを言います。
このように、WBSとスケジュールの持つ意味は厳密には違いますが、実際の現場では同義に使われることもあります。

WBSとスケジュールの違い

スケジュール管理を考える際の留意点は、タスクの依存関係と順序設定を適切に理解することです。 依存関係は、タスク1が終わらないとタスク2に取りかかれない「強制依存」、過去の経験や情報を元に"〇〇よりも××を先に取り組んだ方が動きやすい"「任意依存」、自分でコントロールできない"第三者から影響を受けるスケジュール"「外部依存」の3種類があります。

3つの依存関係のなかでも特に意識が必要な関係は「外部依存」です。例えば、海外旅行に行く際、パスポートの発行には長い期間が必要です。そういった第三者(外部)に依存する関係はついつい忘れがちなため、意識していないと絶対に失敗してしまいます。

順序設定はタスク1が終わったらタスク2に取り掛かる、「終了-開始:FS(Finish-Start)」の、いわゆるウォーターフォールのような設定が基本です。「強制依存」「外部依存」に関してはこの順序を使います。ほかにも、タスク1が始まったらタスク2を始める「開始-開始:SS」、タスク1が終わることでタスク2が終わる「終了-終了:FF」、タスク2が始まることでタスク1が終わる「開始-終了:SF」があります。最後の「SF」を適用する例はほとんど無いそうです。状況に合わせて順序を考えましょう。

大崎誠

状況を隠さず常に確認しあう

実際にスケジュール管理の演習をした際、状況を理解したつもりでいても、些細な条件に気付けずに定めた期間まで余りすぎたり、オーバーして失敗することもあることが実感できました。プロジェクトに失敗は付きものですが、失敗を隠しても、さらに大きな失敗にしか繋がりません。無駄な失敗を極力避けるためにも「適度に確認を取る、状況を正直に話し合う」ことが重要です。

カリキュラムの合間にも簡易演習や質疑応答、学んだ内容を整理する時間がありました。ディレクターとして社内外で立ち振る舞うための考え方やアドバイス、大崎先生自身が実際に経験されたプロジェクトのお話は説得力がありました。

2017年7月

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